目次
自閉症の子が気持ちを言えない背景にある“感情学習”とは
「今日、保育園楽しかった?」
そう聞いても、
・無反応
・オウム返し
そんなことはありませんか?
私は息子が小さい頃、この質問を何度もしていました。
もしかしたら今日こそ答えてくれるかもしれない。
今日こそ会話になるかもしれない。
そんな期待を込めて聞いていました。
けれども返ってくるのは沈黙。
当時の私は、
「ことばが増えない」ことはもちろん、
「友達とのやりとり」
「人への興味」
など、社会性についても課題を感じていました。
「ことばも社会性も課題だらけだな…」
そんな風に思っていたんです。
ですが今振り返ると、息子に必要だったのは、ことばの練習ではありませんでした。
自閉症の子が自分の気持ちを言えない背景には、「感情を理解する力」がまだ育ちきっていないことがあります。
つまり、【感情学習】だったのです。
感情学習とは、「自分は今どんな気持ちなんだろう?」を理解していく学習のことです。
実は自閉症の子の中には、自分の気持ちを言葉にすることが苦手なお子さんが少なくありません。
だから、「楽しかった?」と聞かれても、そもそも自分の気持ちを整理できていないため、答えられないことがあります。
まずは、気持ちを言葉にする前に、気持ちを理解する経験を増やしていくことが大切なんですね。

「楽しかった?」と聞き続けていた私が気づいたこと
私は昔、息子にことあるごとに「楽しかった?」と聞いていました。
だって、気持ちを聞きたかったから。
保育園で何をしたのか。
誰と遊んだのか。
楽しかったのか。
知りたかったんです。
けれど、息子は答えられませんでした。
そして私は、
「どうして言えないんだろう」
「何度聞いてもダメだな」
と落ち込んでいました。
けれどもある時、そもそも聞く順番が違ったのだと気づいたんです。
自閉症の子の感情学習では、最初から子どもに答えを求めるのではなく、まずは大人が言葉にしてあげることが大切だと学びました。
例えば、一緒にお絵描きをしていて作品が完成した時。
以前の私は、「できたね!」だけで終わっていました。
ですが感情学習では、「できたね!うれしいね♪」と気持ちまで言葉にします。
一緒にクッキーを作った時も、「できたね!」だけでなく、「早く食べたいね♪」と気持ちを添えてあげます。
すると子どもの中で、
できた
↓
うれしい
作った
↓
食べたい
というように、
出来事と気持ちが少しずつ結びついていきます。
自分の気持ちを伝えられない子に必要なのは、気持ちを聞くことよりも、気持ちに名前をつけてあげることだったのです。
そして、息子との関わりの中で感情学習を積み重ねていくことで、 「できた」と「うれしい」が少しずつ結びつき、人とのやりとりの土台が育っていきました。
その積み重ねが、今の兄弟やお友達との楽しい会話にもつながっていると感じています。

自分の気持ちがわかるとことばも社会性も育ちやすくなる
感情学習は、単に感情の言葉を増やすためのものではありません。
実は、ことばと社会性をつなぐ土台です。
なぜなら、自分の気持ちがわかるようになると、相手の気持ちにも興味を持てるようになるからです。
そしてもう一つ大切なのが、「誰と一緒だったからうれしかったのか」という視点です。
例えば、一緒に工作をした時。
ただ、「うれしいね」で終わるのではなく、「ママと一緒に作ったからうれしいね」と伝えます。
すると子どもの中で、うれしいだけでなく、ママと一緒だからうれしいという人とのつながりも育っていきます。
・ママと一緒だから楽しい
・ママと一緒だからうれしい
・お友達と一緒だから楽しい
そんな経験の積み重ねが、
「人っていいな」
「一緒って楽しいな」
という感覚につながります。
そしてその土台が、会話力や社会性を伸ばしていくのです。
だからこそ、ことばだけを教えるのではなく、感情を育てることが大切なんですね。

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感情学習を育てる4つのステップ
感情学習は特別な教材が必要なわけではありません。
毎日の生活の中で少しずつ育てていくことができます。
STEP1 一緒に行動する
まずは同じ方向を向いて一緒に活動しましょう。
例えば、
・一緒にご飯を食べる
・一緒にお絵描きをする
・一緒に料理をする
・一緒に工作をする
などです。
「向かい合う」よりも、「同じ方向を向いて一緒にやる」活動がおすすめです。
STEP2 気持ちを代弁する
子どもに質問するのではなく、ママが先に気持ちを言葉にします。
・うれしいね
・楽しいね
・ワクワクするね
など、気持ちの名前を教えてあげましょう。
STEP3 「ママと一緒だからうれしいね」を伝える
感情だけでなく、人とのつながりも言葉にします。
・ママと一緒だから楽しいね
・一緒に作ったからうれしいね
・〇〇くんと一緒でうれしいね
そんな言葉を添えてみてください。
STEP4 「ママといると安心」を育てる
感情学習の土台は安心感です。
子どもにとって大切なのは、ママの反応がある程度予測できること。
もちろん毎日完璧である必要はありません。
ですが、否定ばかりではなく、安心できる関わりを積み重ねることで、「ママといると安心」という感覚が育っていきます。
そして、
安心
↓
愛着
↓
感情
↓
ことば
↓
社会性
という順番で発達が進みやすくなっていくのです。
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