いつもの水族館から一歩広げて新しいイベントに挑戦
週末になると、わが家では息子の大好きな水族館へ出かけることがルーティンになっていました。
ですが、慣れた場所へのお出かけだけではなく、新しいことにも挑戦させたいと考えていた頃、親子で参加できる音楽イベントがありました。
会場までは車で行ける距離です。
新幹線や飛行機を使わずに行ける場所だったこともあり、まずは挑戦してみる、体験してみようと参加を決意。
息子にとっても親にとっても、いつもの休日から一歩外へ出る新しい挑戦が始まりました。

「初めての場所や人混みへの挑戦にはたくさんのハードルがあった
息子への予定の予告は、数日前から伝えるより、当日の朝や出発直前に行うことが多いわが家。
いつもの水族館や公園なら、行き先の写真を1枚見せれば予定を伝えることができます。
今回の音楽イベントは、会場へ着くまでに食事や駐車場からの移動など、いくつもの場面を経由します。
息子がわかるように予告できるのか…不安に感じていました。
また、歌や楽器は好きな息子ですが、興味のない曲を長く聞くことや、人がたくさんいる場所は得意ではありません。
初めての場所。
人混み。
いつもとは違う休日の予定。
息子にとって、いくつものハードルがある挑戦でした。
さらには、少し前までは、移動を嫌がる場面でも抱っこで移動できていましたが、現在は、全力で拒否。
抵抗する場面があった時には、無理に移動させるのではなく、息子の様子を見ながら気持ちを切り替えられる方法を考える必要がありました。

会場に着けたら100点と息子に合った目標を決めた
今回、息子の目標を「会場に到着できたらゴール達成」と決めました。
以前であれば、会場まで行くならホールにも入り、できるだけイベントに参加するところまでを目標にしていたと思います。
ですが、発達について講座生のみなさんと学ぶ中で、子どもの今の状態を見ながら目標を設定することの大切さを知りました。
以前、療育先の先生から、
「初めての場所が苦手な子は、嫌がったら無理をせず一度離れてもいい。一度経験した場所を覚えることで、次は行けることもある」
と教えてもらったことも、今回の目標設定につながりました。
イベントへ最後まで参加できるかではなく、
まずは初めての会場まで行ってみる
ことを今回のゴールにしたんです。
また、息子が動けなくなった時には、発コミュ(=発達科学コミュニケーション)で学んできた関わり方を一つずつ試しながら、
「何が嫌なのか」
「どんな働きかけなら動けるのか」
を親の脳もフル回転で息子の反応から考えることにしました。

安心して新しい場所へ行くために準備と対応を重ねた
まず準備したのが、当日の流れを写真で確認できる予告用のミニ絵本です。
普段は、保育園や療育など当日に行く場所の写真を1枚、スケジュールボードに貼っています。
息子は朝起きると、自分からスケジュールボードを確認します。
今回は1日の中でいくつもの場所へ移動するため、場面ごとの写真を準備しました。
✅どの写真があれば分かりやすいか。
✅どんな順番なら見通しを持ちやすいか。
✅息子が楽しそうだと思える見せ方は何か。
一つずつ考えながらミニ絵本を作りました。
移動途中では、行き慣れたファミリーレストランで早めに昼食をとる予定を入れました。
空腹による不機嫌を避けながら、息子が好きないつものハンバーグを食べられる時間を作るためです。
食べられない場合に備えて、好きなお菓子やジュースも準備。
音楽イベントで演奏される曲も事前に確認し、プレイリストを作って朝から音楽を流すなどの準備をしていきました。
大好きな水族館ではない予定にも切り替えられた
当日の朝、息子は自分で大好きな水族館の写真を選び、写真を持って玄関へ向かいました。
水族館へ行きたいという意思表示です。
「水族館に行きたいね」と気持ちを受け止めたあと、予告用ミニ絵本の中から息子が興味を持ちそうなページを見せ、当日の予定を伝えました。
すると、車が水族館とは違う方向へ曲がっても、大きな癇癪を起こすことなく移動できたのです。
その後も場所を移動するたびにミニ絵本を使って次の予定を伝え、休憩中に遊ぶ場面ではタイマーを使って終わりの時間も予告していきました。
予想していなかったエレベーターホールで立ち止まった
ところが、会場の地下駐車場に到着し、上の階へ移動しようとした時、息子がエレベーターホールへ入ることを拒否。
エレベーター自体は好きだったため、エレベーターホールの写真はミニ絵本に準備していませんでした。
ですが、ここで焦ってのせるのではなく、まずは少し好きなように動く時間を作りました。
その後で
・別のエレベーターホールから移動できないか試したり。
・パパが先にエレベーターホールへ入り、息子を誘ったり。
・エレベーターホール内の自動販売機で、息子がいつも飲んでいる好きなジュースを買ったり。
いくつかの方法を試す中で少しずつ落ち着き、最終的にはエレベーターに乗ることができたのです。
会場には到着できたもののホールには入れなかった
会場へ到着したあと、息子は建物に入ることを嫌がり、コンサートホールにも入ることができませんでした。
エレベーターホールでも入ることを嫌がった様子から、囲われた場所へ入ることに不安があった可能性も考えました。
しかし、今回決めていた目標は、会場に到着できたら100点です。
会場到着という目標はすでに達成していました。
ホールへ無理に入れようとはせず、息子が落ち着ける場所で一緒に過ごし、しばらくママにくっついて過ごしたあと、少しずつ会場の雰囲気に慣れていきました。
ホールの中へ入ることはできませんでしたが、外にあるスクリーンから中の様子を見て、最後には笑顔で会場を走り回る姿も見られたのです。

ホールに入れなくても見つけられたたくさんのできた
イベントを振り返るためにこのレポートをまとめると、1日の中にはたくさんのできたことがありました。
大好きな水族館ではない予定へ切り替えられたこと。
ミニ絵本を見ながら次の予定へ移動できたこと。
タイマーを使って遊びを終えられたこと。
入ることを拒否したエレベーターホールにも入れたこと。
初めての会場まで行くことができたこと。
知らない場所でも少しずつ慣れて過ごせたこと。
コンサートホールに入れなかったという結果だけではなく、会場へ向かうまでの過程を振り返ったことで、息子ができたことを一つずつ確認できたんです。
イベント後には、日常生活でこちらの声が届きやすくなったり、パパやママと一緒に手をつないで移動できたりする姿も見られました。
また、今回ホールへ入れなかった理由について、以前映画館へ行った時の経験が関係している可能性も考えています。
映画館では暗さや大きな音を嫌がった経験があり、今回のホールの入口が映画館と似ていました。
次は息子の大好きな映画を映画館で見ることにも挑戦したいと考えています。
今回の経験を生かして、
どんな予告なら見通しを持てるのか。
何を準備すれば安心して参加できるのか。
どこまでを今回の目標にするのか。
息子の様子を見ながら考え、新しい経験を少しずつ増やしていきたいです。

発達科学コミュニケーション
海東 美帆






