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知的障害があったって我が子に思いっきりいろいろな体験をさせてあげたい!
私には、小学3年生の重度知的障害を伴う自閉っ子の息子がいます。
今まで障害の重さゆえに、お出かけやいろいろな体験を諦めてきました。
そしてこの世の中で、重度障害者はチャレンジすることさえ許されないように思っていました。
障害の特性ゆえに発生する様々なトラブル。

知的障害っ子や自閉っ子がチャレンジしやすい雰囲気さえあればトライできるのに、まだまだ世の中にそういった空気感は少ないのが現状です。
そんな中、今回開催されることになった「自閉っ子生け花教室」。
テーマは、「ダメって言われない環境で100褒めしよう!」でした。
まさに、私が求めていた理想の環境がここにありました。
ダメって言われない褒められるしかない世界・・・
普段の学校生活や社会生活の中ではなかなか得ることのできない自信や成功体験を、この環境でなら得ることができる!
そんな想いで、今回のプロジェクトに参加することにしました。
敷居が高そうな生け花教室、、我が子にどうやって体験させよう?
「生け花」と聞いて、初めは「そんな敷居の高い高度なこと、うちの子にできるの!?」と、我が子が生け花をするということに想像がつきませんでした。
なぜなら、私の息子には様々な「苦手」や社会では「迷惑行為」ともとられがちな行動があるからです。
・じっとすることが苦手
・手先が不器用で力の加減が苦手
・人との距離の取り方が下手で無意識に触れてしまう
・人のモノでも興味を持ったものにはすぐに手が出てしまう
・感覚過敏があり苦手な感覚や刺激がある
・体験の少なさか興味の幅が少なく、馴染みのないことへは無関心の傾向が強い
・馴染みのない場所や活動への抵抗感がある

様々なハードルがある息子に、どうやって生け花を体験させてあげよう?
息子の行動で他の参加者さんに迷惑をかけないかな?
「あの子、変だよ」っていう目で見られないかな?
こんな風に、様々な不安がグルグルと私の頭の中を駆け巡っていました。
我が子だけでなく全員に100褒めしよう!
今回の生け花教室の先生が、このイベントを開催されるにあたり、このように話されました。
「生け花には実は正解はないんです。お花以外にも何を挿してもいいし、どんな風に活けてもいいんです。何をしても、参加できればOKです!」

「正解はない!?そんな夢のような世界ある??」
生け花教室の合言葉は、ズバリ、『100褒めしよう!』です!!!
参加者さんは全員、障害の程度に差はあれど自閉っ子を育てるママ達です。
普段、我が子にいろいろな事を体験させたくても、障害があるゆえに泣く泣く断念してきたママ達です。
「そんなママ達と一緒に挑戦ができる!
みんなで褒め合いっこができる!
なんて温かくて心強い環境なんだ!
この環境があれば、不安なんて何もなく
子どもに思いっきり挑戦させてあげられる!」
そう思いました。
息子の才能が開花!!感動の生け花作品
いよいよ、生け花教室がスタートしました。
息子は会場に慣れたり、参加者さんに慣れるためにひたすら会場内を走り回り、まずは目で観察をしていました。
その表情はニッコニコで、笑顔に溢れていました。
誰からもダメって言われず、むしろ「ジロウくん、これみてみる?」や「ジロウくん、こっち来る?」など、温かく優しい声と眼差しで、他の参加者さんから声を掛けてもらい、息子の安心感に繋げてもらうことができました。
ひとしきり息子の現状把握が終わったタイミングで、息子に声をかけました。
「ジロウくーん!見てみてー!ジロウの好きな黄色のお花がいーっぱいあるよー」
息子は黄色が大好きで、同じモノを集めて並べることが大好きです。
その特性を生かして、あらかじめ黄色の同じ種類の花を息子に用意をしました。
すると、会場の雰囲気に慣れて安心した息子は、私の呼びかけに応じ、スーッとお花の方へ寄ってきました。
「この黄色のお花、ここに全部プスプス挿していくよ!
まずは、ハサミでここ(花の枝部分)をチョッキンするよ」

すると、息子はお花を手に取り、ハサミを握って自分でチョキン!と枝を切ることができました!
「ジロウ!1人でチョッキンできたね!上手ーーー!!!」
「じゃあ、今度はこれをここにプスってしてくれる?」

私の声かけに、息子はオアアシスと呼ばれる緑色のブロックにお花を活けることができました!!
「めっちゃいい感じやん!上手にお花挿せてるよ!」
「じゃあ、もう一本やってみる?」
そういうと、息子は残りのお花も順番に挿していくことができました。
3本ほど挿した後は飽きたのか、再び会場内をぐるぐると走りに行きました。
そしてしばらくして、「ジロウー、まだお花あるよー!チョッキンしてここにプスってしない?」と誘ってみると、スーッと戻ってきて、黄色のお花を全て活けることができました。

黄色のお花が満開で、菜の花畑のような、この世に一つの最高にステキな息子のオリジナル作品が完成しました。
完成した作品をじーっと見て、一度挿したお花をもう一度別の場所に挿し替えたりと、アレンジもしていました。
本来であれば、挿し直すとオアシスが崩れるのであまり良くないのですが、ここは「ダメって言われない環境」。
「ジロウ、自分でもっかい考えてプスってできたん!?めっちゃ良くなったやん!」と褒めます。
褒められた息子は嬉しくなって、その後何度も挿し替えをしていました。(笑)
息子は何かにパチっとはめる感覚が好きなので、オアシスにお花を挿す感覚が気に入ったのだと思います。
普通だと「一回挿したものを抜いて挿し直しちゃダメ!」と言われるところを、「自分で考えて、アレンジできてすごい!」と、褒めることができました。
息子が自分で考えて行動できたことにだけ注目して褒めて褒めて褒めまくる!
この環境と声かけをするだけで、どんどんチャレンジできる!
できることが増える!
そしてそれが息子への自信と成功体験につながる!
いいことしかない!!
どんな風に参加できるのか、想像すらつかなかった生け花教室。
ダメって言わない、褒めることしかしない、我が子がやりたいようにやる。
この環境があるだけで、終わってみれば、想像以上の結果で終えることができました。
他人に「すみません」とペコペコ頭を下げなくても良い環境で思いっきり挑戦できる世界を作りたい!
「褒められるしかない世界であれば、障害があったって笑顔で思いっきり挑戦できるんだ!」ということを、今回の生け花教室から学びました。
他人に迷惑をかけているという気持ちを払拭して、「ママも子どもも笑顔で思いっきり遊ぶことができる場所」
私はそんな場所を作っていきたいです。
実際に今回の自閉っ子生け花教室を体験し、夢じゃない!叶えることができる場所なんだ!と思いを強くしました。
褒められるしかない世界で、我が子に思いっきりいろいろな遊びや体験をさせていきたい!
知的障害っ子や自閉っ子を持つママが、他人にこれ以上頭を下げなくても良い環境。
むしろ他人から「楽しそう!」「いいな!」って憧れられるキラキラした環境。
そんな思いっきり挑戦できる世界で、我が子を育てていきたい。
ママも子どもも、笑顔で思いっきりチャレンジできる!そんな場所を作っていきます。

発達科学コミュニケーションリサーチャー
横田聖子