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ASDの息子が話すことばが増えてきた小学1年生の夏
息子が小学1年生の時、私の実家へ帰省した時の出来事です。
私の息子は自閉スペクトラム症(ASD)と知的障がいがあり、ADHD傾向もあります。
息子はことばの発達がゆっくりでした。
ことばでのやり取りの苦手さが心配になり、年長の秋からおしゃべり上達メソッドを実践することに。
小学校入学前には、ことばでの意思疎通が少しずつできるようになり、入学後もことばが増えてきていました。
それでも、会話のキャッチボールはまだ難しく感じ、一方通行のやり取りがほとんどでした。

ゆるデジタルデトックス期間に息子が車で言った「見せて」
※この記事で語られる「ゆるデジタルデトックス」とは、スマホや動画を完全に禁止することではありません。子どもの脳にデジタル機器からの強い刺激が入りすぎないように環境を整えることとしています。
息子は、動画が大好き。
いつも、DVDやYouTubeを駆使してなんとか息子の機嫌を保っていたのです。
しかし、今回の帰省では「ゆるデジタルデトックス」に挑戦すると決めました。
決意したきっかけは、おしゃべり上達メソッド内で行われている「ことばの発達科講義」でデジタルの刺激が子どもの脳に与える怖い影響を学んだからでした。
帰省中に祖母の車に乗っていた時のことです。
車の中で音楽を流すこともできなかったので、息子が退屈そうにし始めていました。
そしてついに、息子が言ったのです。
「YouTube見せてください」

ASDの息子が初めて「しりとり」を理解した瞬間
車の中で何か暇つぶしはないかと考えて、私は最近の息子の成長の様子からできることを思いつきました。
「しりとりしよう!」
息子は不思議そうな顔をして「しりとりって何?」と聞いてきます。
そこで私は、息子の前で一人しりとりを実演してみることにしました。
「りんご、ごりら、らっぱ、ぱんつ……」
すると息子が、じっと私の様子を見ていました。
そして突然、
「あ!まって!えっと、りんご、ゴリラ、らっぱ、、、パイナップル!」
と、息子が自分で考えて、しりとりのルールを理解したのです。

最初は私の真似でもいい、ヒントを出して遊ぶのでもいいと思っていました。
しかし、息子はルールを理解し、自力でことばを探し出してゲームを続けることができたのです。
車内にいた祖母と私は思わず、「すごい!」と声を上げ、嬉しさいっぱいに!
息子が「パイナップル」と言った後も、何度かしりとりを続けることができ、車内は笑顔あふれる空間となりました。
デジタルデトックスに挑戦して気づいたASDの息子の言葉の成長
しりとりが出来るようになった時期、息子との会話でのコミュニケーションが増えてきたと感じていました。
✅少しずつ会話ができるようになっていた
✅簡単なルールの理解ができるようになった
✅2つのお願いを1度にきけるようになった
これは、ワーキングメモリーの力が育ってきた証。
ワーキングメモリーとは、聞いたことを一時的に覚え、次の行動につなげる力のこと。
しりとりは、「前の言葉を覚える」「語尾の音を使う」という2つのことを同時に行う遊びです。
この「聞いて覚えて使う力(ワーキングメモリー)」が育ってくると、会話のキャッチボールもしやすくなります。
そこで、「今なら、しりとりもできそうだ」と思い、息子に仕掛けてみました。
すると、少し時間はかかりながらも、しっかり、しりとりが成立したのです。
息子のワーキングメモリーの力が付いてきたのは、おしゃべり上達メソッドでの肯定的な関わり方を続けてきたから。
そして、わが家のASDの息子は「ゆるデジタルデトックス」も取り入れたことが、さらにことばの成長を後押ししてくれたのだと感じています。
ワーキングメモリーの成長を感じる一方で、以前の息子の様子を思い返すことがありました。
以前の息子は、いつからか「ユーチューブ!」がおはようの挨拶代わりになっていた時期があったのです。
やり方を教えてもいないのに、片づけてあるノートパソコンをケースから出し、電源コードをセッティングして起動させていたこともあります。
動画を見ることがやめられず、スマホから引きはがされて癇癪を起こす。
この一連の流れが続いていた日々でした。
ですが、この「ゆるデジタルデトックス」を始めてから、息子の様子が少しずつ変わってきたのです。
わが家で行ったのは、スマホや動画を完全にやめるような、厳しいデジタルデトックスではありません。
「見せない」よりも、「使う時間と使わない時間のメリハリをつくる」ことを意識しました。
たとえば、
・起きてすぐ動画を見る流れを一度リセットする
・大人がスマホを手放す時間を意識的につくる
・動画以外の選択肢(お絵描き・工作・会話)を先に用意しておく
小さな工夫を重ねたのが、わが家の「ゆるデジタルデトックス」です。
息子は今でも「動画が見たい」とは言います。
ですが、スマホを大人から奪い取る行動はなくなりました。
なくなった行動の分、自分で過ごし方を選ぶ時間が増え、お絵描きや工作、そして会話といったデジタル機器に頼らなくてもよい遊びに自然と向かうようになっています。

▲実際に息子が書いた絵
スマホなどのデジタル機器から離れた遊びは、考える・思い出す・伝えるといった脳の働きや身体も使います。
もちろん、ASDの息子の成長理由は一つではありません。
ですが、脳を使うことや身体を動かす時間が増えたことで、ことばも少しずつ増えていく環境になりました。
ASDの子のことばを育てるために今日からできること
もしあなたのお子さんが、スマホや動画に夢中でことばの成長に悩んでいるなら、ぜひデジタルデトックスに取り組んでみてほしいです。
始める一歩として、完璧なデジタルデトックスでなくても大丈夫。

まずは車の中だけ、午前中だけ、スマホの小さい画面ではなくテレビの大画面で一緒に見るだけでも、わが子の大事な脳をデジタルの強い刺激から守ることができますよ。
私も最初から完璧にできたわけではありません。
失敗を繰り返しながら、「ゆる」く続けた結果、ことばの発達を実感できるようになりました。
これからも、おしゃべり上達メソッドとともにデジタルデトックスも取り入れて、子どもたちの成長を加速させていきます。
発達科学コミュニケーション
アンバサダー たなか ようこ






