目次
勝ち負けにこだわる発達障害の子の心理と対応
◆勝ちにこだわる
◆勝ち負けのあるものをやりたがらない
◆負けると怒ってかんしゃくを起こす
その理由と対応についてお伝えします!
勝ち負けのこだわりは脳の未熟さ故に起きていることなので、脳を成長させれば勝ち負けのこだわりはゆるんできます。
じゃあ、なぜ脳が未熟だと勝ちにこだわってしまうのか?
理由①予測することが苦手だから
「負けるかも・・・」
「負けたらどうしたらいいか分からない・・・」
負けたあとの状況をどうしたらいいのか分からず、ものすごく不安を感じてしまうんです。
負けたときに「仕方ない!次頑張ろう!」と切り替えるのも難しかったりします。
理由②不快なことに敏感に反応しやすいから
今までの経験から「負け=不快なこと・だめなこと」と判断すると、敏感に反応しやすく、怒りとして表現されやすくなります。
まだ自分の感情をことばで適切に表現する方法を知らないのです。
理由③白黒思考になりやすいから
発達障害、特に自閉症のお子さんたちはグレーな部分や曖昧なことを受け入れることが難しく、物事を極端に「0か100」、「好きか嫌いか」、「正しいか、間違っているか」など二極化した考え方をしやすい傾向があります。
なので、「一番じゃないと意味がない」、「負けるとこの世の終わり」のように感じてしまい、ゲームや遊び、勝負事の途中経過や頑張ってきた過程にはなかなか目が向きにくいんです。
上記などの理由から発達障害のお子さんは、「勝つこと」にこだわることが多く、負けてしまうと不安や怒りが強まり、かんしゃくやパニックに繋がってしまいます。
ですが、ここで「じゃあ、負けた時の練習をさせよう」と思ってもすぐにはうまくいきません。
まずは未熟な脳を育てる対応が必要なのです!!
それがズバリ「勝たせ続けて自信を育てる」ということ。
その上で、負けた時の対応も少しずつ教えていきましょう!!

負け方を教える前に勝つ体験を増やそう!
自閉っ子はどうしてもうまくいかなかった経験や負けてしまう経験などネガティブな記憶を貯めやすいので、自信がないお子さんも多いのです。
自信がない中で「負け」の練習をさせてもまだ受け入れることができません。
だからこそ、おうちでは「勝たせ続けること」で楽しい記憶を貯めて、自信を育てましょう。
そして、「自信」がついた状態にしてあげてから「負け」を教えてあげてほしいのです。
「勝たせ続けるなんて、調子に乗るんじゃ?」と思いますよね。
ですが、勝ち続けることこそが脳が成長するメカニズムであり、満足するほどに勝つ経験を積めば、自然と脳も飽きてきます。
なので、負けという不快な状態を何度も経験させるよりも、おうちでは「勝つ」経験をどんどん積んでいきましょう!!
そうすることで「負けた時の対応」を覚える次のステップに進めることができます^^

負けると癇癪だった息子がママを勝たせてあげる気遣いができるようになった!
わが家の息子も勝ち負けにこだわりが強く、負けると泣いて怒ってかんしゃく、という日々が長く続きました。
「負けることだってある」ということを教えようにも、かんしゃくになることが分かっていると、あまり気が乗らず、勝ち負けのあるようなゲームや遊びは避けていました。
ですが、脳科学的には「勝たせ続けたほうがいい」ことを知り、あえて勝ち負けのある遊びも取り入れて、勝つ経験をさせていくことにしました。
さらに、負けがネガティブなものという認識も変えていきたかったので、私が負けたときには、悔しがりつつも笑顔でいるようにしていました。
すると、しばらくたったある日、息子と「魚釣りゲーム」をしていた時のこと。

いつもならややズルをしてでも勝ちにくる息子が、私の釣った魚の数を見ながら釣るペースを調整して、なんと私にわざと勝たせてくれたのですΣ('◉⌓◉’)
そして、負けたあとには「負けちゃった〜」とニヤニヤしながらひっくり返っていたんです笑
私が負けたときのリアクションもちゃんと見ていたんですよね。
それ以来、息子と私の間では楽しく対等に勝ち負けのある遊びができるようになり、小学2年生になった今ではお友達と鬼ごっこやドッチボールなど、負けても怒らずに遊べるようになっています。
勝ち負けのこだわりが落ち着くおうち対応
◇気持ちの代弁
少し負ける機会も作りつつ、負けたときには「そんなときもあるよ!」と励ますよりも「負けて悔しかったよね」と気持ちを代弁してあげましょう!
ことばで自分の状況、気持ちを理解できるようになっていくことも大事です。
◇できたところを肯定する
できたところに注目して声をかけてあげてください。
「〜できるようになったね!」
「練習したから、この前より上手になったね!」
など、結果だけじゃなく、プロセスにも意味があることを伝えていきましょう!
◇負けの見本を見せる
そして、ママが負けたときに、楽しそうに悔しがったり、「次は負けないぞ~」など、どんな風に切り替えていくのか見せてあげましょう^^
「負けの見本」があることで、どう表現したらいいのか覚えていきます。
負けてもみんなで遊べて楽しかった!って思えるまでには少し時間がかかります。
ですが、いつか負けるときがあってもいいかって思える日が来ますよ。

発達科学コミュニケーション
アンバサダー 東原あや