概要
自閉症のお子さんを育てているママやパパの中には、東田直樹さんの『自閉症の僕が跳びはねる理由』(東田直樹著『自閉症の僕が跳びはねる理由』角川文庫(2016年6月刊))という本のタイトルを一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
著者の東田さんは、会話でのやりとりが難しい重度の自閉症でありながらも、文字盤やパソコンを使って「言葉で伝える力」を育んできました。
この本では、当時13歳の東田さんが自閉症当事者の視点から、自らの行動の理由や、心の中の思いを丁寧に綴っています。
子育てのなかで「どうしてこうなるの?」「なぜ伝わらないの?」と悩んでいるパパママにとって、きっと新しい気付きが得られる一冊です。
自閉症の子を育てるママとして、この本から学んだ4つのエッセンスをご紹介しますね^^
迷惑をかけて悩んでいるのは誰?
自閉症児の子育てには、大変なことも、戸惑うことも本当にたくさんありますよね。
「迷惑をかけないようにさせなきゃ」 「特性だから仕方ない」
そう思ってがんばっていても、時に心が折れそうになったり、「もう限界」「ママやめたい」と感じる日もあるかもしれません。
ですが、東田さんの言葉にふれると、その苦しみは親だけのものではないことが、伝わってきます。
『どうしてこだわるのですか?』という問いに東田さんは以下のように答えています。
『僕たちだって好きでやっているわけではないのですが、やらないといてもたってもいられないのです。
(中略)
人に迷惑をかけて一番悩んでいるのは、自閉症の本人自身なのですから。
たとえその時、やっている本人が笑っていたり、ふざけていたりしても、心の中では傷ついているのです。』
――東田直樹著『自閉症の僕が跳びはねる理由』(角川文庫)
周囲の人が理解できない行動の裏で、実は本人もどうにもならない葛藤や痛みを抱えているんですよね。
自閉症の方はよく「相手の気持ちが分からない」と言われますが、逆に私たち親も自閉症の人の気持ちが分からないことも多いです。
私自身、「人に迷惑をかけないで」と何度叱ってきたか分かりません。
なんで何度言っても分かんないのかな?と怒りたくなる気持ちは私だけじゃなく、怒られている自閉症息子も同じ。
「なんでわかってくれないの?」と思っていたかもしれません。
ずっと怒ってしかる育児をしてきた私は、今まで自閉症の息子がどんな想いでいるかよりも、とにかく迷惑をかけることや冷たい目で見られることを避けたくて、ある意味自分を守るために叱ってきたのだと思います。
言葉が遅く伝えられない息子の気持ちを代弁するかのような内容に、改めて「本当はこんな気持ちでいたのかな」「私には想像もできないような苦痛だったのかな」と自分の育児、声かけを見直すきっかけをくれました。
我が子の声を聞くことの大切さ
もちろん、この本に書かれていることがすべての自閉症の子どもに当てはまるわけではありません。
誰一人として同じ子はいませんし、感じ方も違います。自閉症という言葉でひとくくりにできるものでもないです。
実際、私の息子と著者の東田さんとでは行動を起こす理由や想いが違うなぁと思うこともたくさんありました。
ただ、「わが子には、わが子の理由がある」「本当はどんな思いを抱えているんだろう」
そんなふうに考えられるようになるだけで、少しやさしくなれる気がします^ ^
子育てに必要なのは正しい知識と理解、そして・・・
この本には、自閉症に関する専門的な内容はあまり記載されていませんが、だからこそ伝わってくる当事者の心の声があります。
「自閉症はこういうもの」と決めつけるのではなく、「この子は、どんな気持ちでいるんだろう?」と立ち止まるきっかけをくれるんです。
親として、知識を得て、特性を理解することはもちろん大切。
できないことをできるように練習することも時には必要です。
けれど、それ以上に大切なのは、「あなたはあなたのままでいいんだよ」という想いを、子どもに伝えていくことではないでしょうか。
東田さんは『普通になりたいか?』という問いに対してこうおっしゃっています。
『もし自閉症が治る薬が開発されたとしても、僕はこのまま自分を選ぶかもしれません。
(中略)
自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです』
――東田直樹著『自閉症の僕が跳びはねる理由』(角川文庫)
この言葉から、障害を持っていたとしても、生きづらさを抱えていたとしても、「自分を好きになれるかどうか」が、この先、前向きに生きていけるかの鍵になるということですね。
そんな「自分が好き」「自分に自信がある」なんて気持ちはなかなか本人だけの力で育っていくものではありません。
だからこそ一番近くにいる「ママやパパ」が「あなたはあなたのままでいい」と伝えてあげる必要がある。
毎日の肯定的なコミュニケーションが自信を育てる一番の栄養になっていきます。
あなたはあなたのままでいいんだよ
『自閉症の僕が跳びはねる理由』は、「自閉症を理解するための本」であると同時に、「わが子の子育てをもう一度前向きに捉え直す本」でもあると感じました。
読み終えたあと、子どもの表情をいつもよりじっくり見たくなる。
声なき声に、まだ拙いおしゃべりに、もう少し耳を澄ませてみようと思えるはずです。
そして、ぜひ毎日の声かけで「あなたはあなたのままでいいんだよ」をたくさん伝えてあげて下さい^ ^
私も日々息子の「今、すでにできていること」を認めて、褒めて、あなたはすでにできることがたくさんある!と伝えていきたいですし、息子の自信を育てて、いつか自分のことを「大好きだ」と言えるような大人になってくれればと思います。
きっと自信を授ける声かけの積み重ねが、自閉症のお子さんだけではなく、自閉症の子を育てる親の生きづらさを解消していくことにも繋がっていくと信じています(^^)
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発達科学コミュニケーション
アンバサダー 東原あや





