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自閉症の子の切り替えが育つ3つの力
自閉症の子の切り替えが難しい理由は、性格やわがままではありません。
切り替えとは泣き止むことではなく、怒りや悔しさなどの感情が強く出たあとに、自分で次の行動を選べることです。
脳の中では、3つの力が関わっています。
・気持ちを強く感じる力
・体験を覚えておく力
・次の行動を決める力
この3つがつながると、
悔しい
↓
前も似たことがあった
↓
では次はこうしよう
という脳の回路が生まれます。
しかし自閉症の子は、脳の回路のつながりがまだ弱いことがあります。
気持ちが大きく動くと、その気持ちで頭がいっぱいになり、次の行動を考える余裕がなくなります。
そのため、自閉症の子は同じ場面で何度も切り替えに困ります。
おうち対応で行うことは、気持ち・体験・行動をつなぐ練習です。
気持ちが動いた場面で、小さな行動を経験し、その経験を覚えていく。
積み重ねによって、脳の中に新しい回路ができます。
自閉症の子の切り替えは、根性ではなく、脳の回路が育つことで上手になりますよ。
物を投げていた自閉症の息子が「カルピス飲む」と自分で切り替えられた日
私には自閉症で中度知的障害の息子がいます。
幼稚園のころ、思い通りにならないことがあると切り替えができず、物を倒したり投げていました。
植木鉢やヒーター、ついにはピアノ椅子まで…。
投げたら危険なものばかり投げる息子に、「なにしてるの!本当に危ないでしょ!」と、何度泣きながら怒ったか分かりません。
物に当たらず、自分で切り替えができるようになってほしいと本気で願っていた私。
そこで、まずは物を投げそうになる時を見計らって、食べ物や飲み物を出して気持ちを落ち着かせる練習をしていきました。
小学一年生になり、会話が少しずつ増えた息子。
ある日、「遊びでイライラしたらどうする?」と聞いてみることにしました。
すると息子は「カルピス飲む」と返答。
イライラしたらカルピスを飲む、と前もって決めました。
そうして好きな折り紙で作品を作っている途中、うまく出来ずイライラしてしまい、紙をぐしゃぐしゃにしました。
「また何か投げるのかな…」
そう思いながらも少し見守ってみると、なんと台所へ行き、自分でカルピスを作って飲んでいたのです!
その後は別の遊びを始めました。
物は投げずに、自分で選び、自分で作ったのです。
自閉症の息子が切り替えができたと感じた瞬間でした。
「自分でカルピス作って飲んだの!?すごいじゃん!!」
心の底から喜びました。
落ち着いたことよりも、自分で行動を選んだことが本当に嬉しかったです。
自閉症の子の切り替えは時間がかかるからこそ今から行動を選ぶ練習をしたい
自閉症やADHDの子は、ワーキングメモリーという「脳のメモ帳」が小さいことがあります。
脳のメモ帳が小さいと、怒りが出たときに、気持ちを落ち着かせながら次の行動を思い出すことが難しくなります。
さらに、一度できた行動も、すぐには定着しません。
一回できただけでは、次の場面で思い出せないことがあります。
そのため、自閉症の子の切り替えが安定するまでには時間がかかります。
しかし、回数を重ねるほど、思い出しやすくなります。
できた経験は、少しずつ力になっていくのです。
時間がかかるからこそ、自分で行動を選ぶ練習を"今から"始める意味があります。
小さな経験を重ねることで、強い気持ちが出ても、自分で行動を選び直せる力が育っていきますよ。
家庭でできる3つのステップ
自閉症の子の切り替えは、行動を選ぶ力を育てることです。
① 気持ちを整える
イライラしたりパニックになっているとき、脳は気持ちでいっぱいになります。
すると、次の行動を考えることが難しくなります。
感覚を変えることで気持ちを落ち着かせ、行動を選ぶ前の準備をしましょう。
(例)
・飲み物を飲む
・好きなものを食べる
・外の空気に触れる
・ぬいぐるみやプニプニボールを触る
・紙を破る
② 出来たことを経験として残す
少し落ち着いたら、声かけをしながら行動を確認します。
「落ち着けたね」
「泣き止んだね」
「自分で止まれたね」
行動を言葉にすると、行動が記憶に残ります。
「泣き止んだね」などの言葉で余計に怒ってしまう場合は、
「飲んだね」
「外に出たね」
と、"やったこと"を実況中継してみてください。
大切なことは、”自分で行動できた”という経験を脳に残すことです!
③ 前もって行動を決めておく
取り組みの前に、気持ちが大きく動いた時に何をするか決めます。
「イライラしたら水を飲む」
「悔しかったら窓を開けて深呼吸をする」
家庭での小さな積み重ねが、気持ちと行動をつなぐ回路を育てていきます。
自閉症の子の気持ちの切り替えができるよう、今日から少しずつ始めていきましょう^^
発達科学コミュニケーション アンバサダー
畠中 なつみ






