声かけスイッチが知的障害キッズの心を動かす鍵
せっかくのお散歩やお出かけなのに、子どもが自分で歩かず、抱っこやおんぶばかりをねだる…
そんな経験はありませんか?
知的障害のある子どもが歩こうとしないのは「歩く力がない」からではありません。
多くの場合、「歩く意味がわからない」「先が見えない」「不安や怖さがある」ことが理由なのです。
さらに、抱っこやおんぶが「安心」「楽ちん」「いつものこと」として習慣になっていると、それが当たり前になってしまいます。
だけど、そんな時にこそ力を発揮するのがママの「声かけスイッチ」。
ママの言葉には、子どもの気持ちを切り替えたり、不安をやわらげたりする力があります。
ちょっとした声かけの工夫で、「歩くって楽しいかも」と感じるきっかけを作ることができるのです。

お出かけの一歩が “できる” を育てる脳育になる
少しでも自分の足で歩けるようになったら、その「歩く力」を日常の中で繰り返し使うことがとても大切です。
なぜなら、脳は “繰り返しの体験” を通して発達していくからです。
特に知的障害のある子どもは、一度できたことを習慣として続けることで、脳の中の「できる回路」が強くなっていきます。
逆に、「もう歩けるから」とすぐに抱っこに戻してしまうと、その回路が使われなくなり、力が弱まってしまうことも。
また、「歩くこと」は運動面だけの話ではありません。
足を動かすときに働く「運動の脳」は、実は言葉をつかさどる「ことばの脳」のすぐ近くにあります。
そのため、歩くことは “おしゃべりする力” や “人と関わる力” にも良い刺激になると言われているのです。
つまり、「歩くこと」は体のリハビリであり、同時に脳のリハビリにもなる。
だからこそ、「今、少しでも歩けるなら、今こそ習慣に」。
毎日の歩行体験が子どもにとっての「小さな成功体験」になり、脳と体の発達をぐんと後押ししてくれます。

知的障害のある子が挑戦するお出かけの一歩
私には、身体障害と最重度の知的障害のある息子がいます。
歩き始めたのは5歳半でした。
それまでは、数メートルの移動でさえ「無理をさせたくない」と感じ、すぐに抱っこやベビーカーに頼っていました。
そんな中、ふと思ったのです。「家の中や学校では歩いている。だったらお散歩も歩けるかもしれない」。
そこで、まずは息子の大好きな公園にお散歩に行き、「ここまで歩こうね」と目的地を決めてチャレンジ。
私は先にゴール地点に立って “おんぶ待機” しました。
すると、息子は少しずつ、でも確実に自分の足で歩いてくるようになったのです。
その小さな一歩が、大きな自信と習慣の始まりでした。
知的障害のある子が挑戦する歩く力の育て方
子どもの「歩きたくない」を「歩いてみようかな」に変える声かけのテクニックはたった4つです。
① 「歩くといいことがある」を経験させる
・目的地を視覚で伝える:「〇〇の前まで歩こうね」
・歩いたら褒められる、喜ばれる:ママがオーバーリアクションで「すごい!歩いたねー!!」
② 安心感を満たしてからスタート
・出発前にスキンシップや目線を合わせて「安心」を届ける
・最初は手をつなぐ、一緒に歩く。必要なら途中まで抱っこして「ここから歩こうね」と段階的に。

③ 歩けた成功体験を言葉で定着させる
・「○○まで歩けたね」「しっかり歩いたね、かっこよかったよ」などの声かけで記憶に残す
・歩けた場面を写真に撮り、あとで一緒に振り返るのもおすすめ
④ 「歩きやすい環境」を整える
・興味を引くものがあるルートを選ぶ
・滑りにくく、安心できる靴や道を選ぶ
・長距離を一気にではなく、「ちょっと先」を目標に区切って歩く
ママのちょっとした声かけが、子どもの “やってみよう” を引き出します。
その一歩が、毎日の「歩けた!」につながり、体と心と脳を育てていくのです。
「歩きたくない」が「歩いてみようかな」に変わる瞬間を、ぜひ一緒に見つけてみてください。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 岩村 萌永(いわむら もな)






