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ママの “関わり方” が周りの表情を変える
知的障害のある子が、公園など外出先で知らない人にスーッと近づいたり、突然ギュッと抱きついたり…。
そんな行動にヒヤッとした経験はありませんか?
実は、そんな行動にもちゃんと理由があります。
①「この人、安心できそう」って思っちゃうから
知らない人と、家族や先生のような “いつもの人” との違いが、まだうまく分からないことがあります。
「優しそう」「前に会った人に似てる」と感じると、つい近づいてしまうことも。
② スキンシップで気持ちを伝えたいから
「うれしい!」「大好き!」という気持ちを、ぎゅっと抱きしめることで伝えようとしているのかもしれません。
ことばで表現するのが難しい子にとっては、体で気持ちを伝えるのが自然なことなんです。
③ 抱きついたら喜んでもらえた経験があるから
以前、誰かに抱きついたときに笑ってくれたり喜ばれたりした経験があると、「これは良いことなんだ」と思って、また同じようにやってみることがあります。
④ 抱きつくと気持ちが落ち着くから
ぎゅっとくっつくことで安心したり、気持ちが落ち着いたりする子もいるんです。
少し強めの体への刺激が心地よいと感じる、そんな子ども特有の感覚が関係している場合もあります。
⑤「どんな反応するのかな?」って見ているから
「この人はどう反応するかな?」「笑ってくれるかな?」という気持ちから、相手の反応を見て楽しんでいることもあります。
子どもなりの “実験” のような気持ちなのかもしれません。
どれも、「困らせよう」としているわけではなく、その子なりの理由や気持ちがある行動です。
ちょっとしたママの声かけや関わり方で、その行動は “困ったこと” ではなく “魅力” に変わります。
周りの人に「かわいいね」「また会いたいな」と思ってもらえる “愛されキャラ” になっていくんです。

知的障害のある子どもがゆっくり学ぶ人との距離感
知らない人に近づいたり、抱きついたりする行動は、知的障害のある子どもにとって「こんにちは」とあいさつするのと同じ気持ちでしていることがあります。
新しい人とつながりたいという、まっすぐな気持ちの表れなんです。
だけど、まだ距離感を学んでいる途中の子にとっては、その方法が周りにとってびっくりさせるものになってしまいます。
また、相手にとって思いがけない行動だと、迷惑に思われてしまうことにもつながりますよね。
そんなとき、ママや周囲の人が注意することで、子どもは「ダメだったんだ…」と感じ、自信や人とつながろうとする気持ちを失ってしまうことにつがなります。
だからこそ、距離感を学んでいる時期に、「どうしてその行動をしているのか」という背景を理解していきましょう。
そして、安心して気持ちを伝えられる方法を一緒に探していくことが知的障害のある子にとってはとても大切なんです。
そうすることで、子どもは少しずつ、人との距離感や新しいコミュニケーションの方法を身につけていくことができます。

関わり方を変わることで知的障害のある息子が広げ始めた自分の世界
私には、最重度の知的障害がある息子がいます。
息子は人が大好きで、外に出るとすぐいろいろな人のところへ行きたがりました。
最初の頃は「ダメでしょ」と止めたり、あわてて引き離したりしていました。
そんなある日、「これは息子なりのあいさつなのかもしれない」と思うようになったのです。
それ以降は、ただ引き離すのではなく、「あいさつをママが “通訳” する」という関わり方に変えてみました。
たとえば、息子が誰かに近づこうとしたら、「この子、人が大好きで…」「 ”こんにちは” が言いたいんだね」と一言添えるようにしたんです。
すると、息子の行動がきっかけで顔を覚えてくれたり、声をかけてくれる人が少しずつ増えていきました。
私の知らない場所で、息子は私の知らない人たちとも自然に知り合いになっていったんです。
ママの声かけが広げる関わり方の工夫
やり方は、とってもシンプル。
子どもが知らない人の方へスーッと歩いていったら、その人の様子を見ながら、ママがやさしく声をかけてみましょう。
たとえば、犬を連れている人には
「この子、わんちゃんが大好きなんです」
小さい子ども連れの方には
「お友だちになりたいのかな」
「この子、やさしそうな人が大好きで…」
そんなふうに、ほんの一言で大丈夫です。

もし相手がちょっと困ったような表情をしていたら、
「また今度にしようか」と優しく声をかけて引き返せばOK。
無理に交流する必要はありません。ちょっとだけ踏み出して、少しだけ声をかけてみる。
それだけで、子どもの世界も、ママの世界も、ゆっくり広がっていきますよ。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 岩村 萌永(いわむら もな)





