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自閉症のわが子を育てる私が「自分の夢」を描き始めた理由
昨年の冬、おしゃべり上達メソッドで「ママの夢の描き方」という講義を受けました。
講義の中で伝えられた言葉は、私の考え方を大きく揺さぶるものでした。
・自閉症のわが子を変えたいなら、自分の行動を変える
・自分の行動を変えたいなら、自分の当たり前を変える
・自分の当たり前を変えたいなら、心が躍る夢を描く
さらに、心が躍る夢は、叶えたい未来から逆算して描くという考え方を学びました。
自閉症のわが子のためにできることを探し続けていた私は、子どもに目を向けるばかりで、自分自身の気持ちを後回しにしていたことに気づいたのです。
「変えるべきなのは子どもではなく、自分自身」
と気づいた瞬間、心に新しい視点が生まれました。
夢を描くトレーニングでは、まず「なぜ、なりたい自分になれていないのか」という現実と向き合います。
続いて、「なれていない自分から抜け出したい理由」を書き出し、反転させることで本当の夢を言葉にしていきます。
私は学生時代から楽器を続けてきました。
音楽は、生涯続けたい大切な存在です。
しかし、子どもが生まれ、さらに自閉症と診断されたことで、外に出る機会が自然と減り、楽器を続ける余裕もなくなっていきました。
トレーニングを進める中で書き出されたのは、音楽に関する「なれていない自分」ばかりでした。
"音楽から少し距離ができてしまっている自分"
その状態を反転させてみると、"楽器を手に取り、音楽を続けている自分"という姿が浮かび上がってきました。
頭の中で思い描くだけで、胸の奥が少し温かくなる感覚があったのです。
今の生活の中で、どのようにすれば音楽を続けられるのだろう?
考え続けた末にたどり着いた答えが、「おしゃべり上達メソッド × 音楽」でした。
おしゃべり上達メソッドでは、「18歳食いっぱぐれないプロジェクト」という企画が行われています。
褒める環境の中で、子どもたちが「できた」という成功体験を重ね、将来働き続けるために必要な自信や自己肯定感を育てることを目的とした取り組みです。
このプロジェクトに音楽を取り入れることができれば、子どもたちの成長を支えながら、私自身の夢も形にできると考えました。
夢と子どもたちの成長を両立させたいという気持ちから、「音楽を取り入れた企画をやってみたい」と、師匠・今川ホルン先生に想いを伝えました。
すると、「ぜひ、やりましょう!」と、すぐに前向きな返事をいただいたのです。
音楽プログラムを中心とした「18歳食いっぱぐれないプロジェクト~クリスマス会~」の開催が決まった瞬間、期待と喜びが同時に込み上げてきました。
自閉症の子に音楽は大丈夫?夢を叶えたい私に生まれた不安
企画担当となり、夢の実現に向けて動き始める一方、不安な気持ちも膨らんでいきました。
自閉症の子どもの中には、聴覚過敏を抱えている子が少なくありません。
私には7歳になる自閉症の息子がいますが、楽器の音が大の苦手です。
これまで何度か息子の前で楽器を吹いたことがありますが、毎回「ママ、やめて!」と強く拒否されてきました。
もし音楽の時間が、「嫌だった」「怖かった」という記憶として残ってしまったらどうしよう。
自閉症の子どもたちにとって、音楽が苦しい体験になってしまう可能性を考えると、不安は簡単には消えませんでした。
自閉症の子育てと重なる「できた」を大切にする企画の本質
クリスマス会の内容を今川ホルン先生と打ち合わせしていたとき、私は正直な気持ちを伝えました。
「自閉症の子には音が苦手な子もいるため、音楽プログラムが中心だと強調しすぎない方が良いのではないでしょうか。」
返ってきた答えは、迷いがすっとほどけるような一言でした。
「企画の本質は、わが子に成功体験を積ませること。」
音楽を聴けたかどうか、みんなと同じ行動ができたかどうかが大切なのではない。
一人ひとりが、自分なりに「できた」と感じられる時間を過ごすこと。
日々の自閉症の子育てで、私が大切にしてきた視点とも重なっていました。
こうして企画で大切にしたいことが、心の中でハッキリと定まったのです。
一人ひとりのペースで「できた」を感じられる時間を大切にし、
音が苦手な子も安心して過ごせるよう、廃材を使った楽器作りや塗り絵など、子ども自身が「やりたい」と思える活動を選べる環境を整えていきました。
自閉症の子どもたち一人ひとりの「できた」があふれたクリスマス会
当日は8家族が参加してくださいました。
私たち夫婦による楽器演奏からクリスマス会がスタート。
楽器の音が苦手な息子の反応が気がかりでしたが、演奏から離れることなく、会場の中で過ごすことができました。
無理をせず、その場にいられたこと自体が、息子なりの成長だと感じたのです。
続く楽器作りでは、子どもたち一人ひとりの個性が存分に表れていました。
今川ホルン先生が持参してくださったトーンチャイムにも、子どもたちは興味津々。
最後は、全員で音楽に合わせて音を鳴らすことができました。
✅初めての場所が不安で会場に入れない子
✅人の多さに圧倒されて抱っこで過ごす子
✅音が苦手で途中で離れる子
会場には様々な姿の子どもたちが。
ですが、どの行動も否定されることはなく、それぞれが自分のペースで過ごせる環境がありました。
たくさんの大人に認められながら、子どもたちは小さな「できた」を重ねることができたのです。
時間が経つにつれて、子どもたちの表情が少しずつ柔らかくなっていく様子が、強く印象に残ってます。
そして最後に、子どもも大人も笑顔でプレゼント交換ができたことは、忘れられない思い出になりました。
帰宅すると、自分で作った楽器を鳴らしながらクリスマスソングを楽しんでいた息子。
音楽体験が、「楽しかった」という記憶として息子の中に残ったことが、何より嬉しく感じました。
自閉症の子育てママでも夢は大切にしていい!
おしゃべり上達メソッドの環境があったからこそ、「音楽を続けたい」という夢を形にすることができました。
描いた夢は、行動次第で現実になる。
夢が形になった経験は、私自身の大きな自信になりました。
そして、ママのやりたいことを大切にする姿勢は、わが子や周りの子どもたちの成功体験にも繋がると感じています。
自閉症の子育てを理由に、音楽を諦めなくて本当に良かった。
「おしゃべり上達メソッド × 音楽」の環境を創れたことは、今年一番の成功体験です。
これからも夢を描き続け、自分の夢に向き合う時間を大切にしながら、わが子の「できた」を一つずつ重ねていけたらと思います。
発達科学コミュニケーション アンバサダー
畠中 なつみ






