目次
一日の流れが見通せる環境が自閉症の子のイライラを落ち着かせます
ここでいう「環境」とは、何か特別な準備をすることではありません。
一日の流れや大人の関わり方を、子ども自身が「次が分かる」形に整えることを指しています。
見通しが持てない状態では、子どもは「今」と「次」を頭の中でつなげることができず、切り替えのたびに不安やイライラが強くなりがちです。
けれど、一日の流れや次にやることが見えるだけで、子どもは先を予測できるようになり、行動や気持ちは少しずつ落ち着いていきます。
特に自閉症の子どもは、楽しいことに強く集中する特性や、気持ちや行動を切り替えるのに時間がかかる特性があります。
そのため、
「いつ終わるのか」
「次に何を求められるのか」
が分からないまま過ごすことは、大人が思っている以上に大きな負担になります。
突然予定を変えられたり、次の行動を急に求められると、頭の中が追いつかず、不安が一気に高まってしまうのです。
不安が積み重なると、イライラや癇癪という形で気持ちがあふれてしまうことも少なくありません。
だからこそ大切なのが、一日の流れが見通せる環境を整えることです。
・いつ終わるのか
・次に何をするのか
あらかじめ分かっているだけで、子どもの気持ちは驚くほど落ち着きやすくなります。
環境を整えることは、子どもをコントロールするためではありません。
不安を減らし、安心して行動できる土台をつくること。
それが結果として、イライラを和らげることにつながっていくのです。
イライラが止まらなかった自閉症の息子が落ち着いて過ごせるようになるまで
私には、自閉症と中度知的障がいのある、支援学級に通う小学1年生の息子がいます。
新学期が始まってしばらくすると、息子のイライラが目立つようになっていきました。
・やりたい活動を途中でやめなければならないとき
・思っていた予定と違う流れになったとき
気持ちの切り替えがうまくいかず、先生に怒鳴ったり、物を投げようとしたり、ときには手が出そうになることもありました。
学校から
「切り替えが難しかったです
「今日は〇〇くんを叩いてしまいました」
という報告を受けることが増え、私は胸がぎゅっと苦しくなる思いでした。
「どうしてこんなにイライラしてしまうんだろう」
「私の伝え方が悪いのかな」
具体的に何を変えればいいのか見えずにいたとき、ある気づきがありました。
息子は“気持ちが荒れている”のではなく、次に何が起こるのかわからない状態に強い不安を感じていたのです。
そこで学校とも相談し、息子が先の流れを理解できるように、見通しを伝える支援を始めました。
・朝学校に着いたら一日の流れを紙で示す
・次に何をするのかを目で確認できるようにする
・息子の好きな活動も予定の中に組み込む
工夫を重ねていくうちに、少しずつ息子の様子が変わってきました。
自分のやりたいことができる時間がわかると、授業ややるべき活動にも落ち着いて取り組めるようになり、先生に怒ったり手を出すこともほとんどなくなりました。
以前はイライラが目立っていた息子が、落ち着いて次の行動に移れる場面が増え、学校での様子を見守る私も少し肩の力を抜けるようになったのです。
こうした変化を通して、見通し支援が子どもの安心や成長につながることを実感できました。
もちろん、今でも切り替えが難しい日もあります。
ですが、見通しがあることで落ち着いた状態に戻る時間は明らかに短くなりました。
最近では、
「今日は切り替えがとても上手でした」
「見通しが分かっていると、安心して動けていますね」
と、先生から声をかけてもらうことが増えました。
以前はイライラが目立っていた息子が、落ち着いて次の行動に移れる場面が増えてきたこと。
息子の成長の変化を一緒に喜んでもらえることが、私にとって何より嬉しい出来事でした。
イライラを抑え込ませたわけでも、厳しく指導したわけでもありません。
環境を整えただけで、息子は自分で落ち着いて行動できるようになったのです。
今だからこそ整えたい自閉症の子のイライラを減らし成長につながる毎日の流れ
見通しが持てない時間が続くと、自閉症の子どもは、少しずつ不安をため込んでいきます。
不安が言葉にならないまま積み重なると、イライラや癇癪という形で表に出てしまうことがあります。
イライラが強い状態では、脳の考える働きがうまく使えず、本来できるはずの切り替えや学びも難しくなるのです。
だからこそ、今、見通しのある環境を整えることが、気持ちを落ち着かせ、成長を後押しする近道になります。
自閉症の子のイライラを減らす一日の流れを見える化する3つの関わり方
①予定は視覚で伝える
自閉症の子どもは、耳からの情報だけでは予定をつかみにくいことがあります。
・紙に書く
・絵で示す
スケジュールとして目に見える形にするだけで、「次に何が起こるか」が分かり、不安がぐっと減ります。
②切り替え前に予告する
楽しい活動中は、遠くから声をかけるだけでは集中していて聞こえないこともあります。
・そばに行き、注意を向けてから伝える
・スケジュールや時計を一緒に確認する
・予告のタイミングは子どもによって異なる:数分前、何十分前、またはもっと早くでもOK
③切り替えられた行動を言葉にして褒める
泣きながらでも、怒りながらでも、 気持ちが揺れながらでも、次の行動に移ろうとした瞬間は、大きな一歩です。
「切り替えようとしていたね」
「次の活動に進めたね」
行動を言葉にして伝えることで、 「できた」という感覚が少しずつ積み重なっていきます。
自閉症の子に見通し支援を取り入れて、イライラを減らし、笑顔あふれる毎日を少しずつ一緒に作っていきましょう^^
発達科学コミュニケーション アンバサダー
畠中 なつみ





