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ASDの子はなぜスマホにハマりやすい?脳の仕組みから見えてきた理由
スマホに夢中になってしまうのには、ちゃんと理由があるのです。
実は、ASDの子がスマホに強く引きつけられる背景には、脳の“司令塔”である前頭葉の働きが関係しています。
前頭葉は
「今、それをする意味があるか?」
「次に何をするか?」
を判断する役割を担っています。
スマホの操作は前頭葉に強い刺激を与える活動です。
強い刺激によって快感物質であるドーパミンが普段よりも多く分泌されて、脳が興奮状態になります。
そして、ドーパミンには依存作用があるのです。
だから、やめたくてもやめにくくなってしまうのです。

私たち大人も、気が付くと意味もなく動画やSNSを見続けていることありませんか?
「もっと!刺激がほしい!」と、自分でも気が付かないうちに脳が刺激を要求してしまっている状態なのです。
だからこそ、前頭葉の抑制機能が未発達な子どもは大人以上にスマホに依存してしまう。
一方で、親子のやりとりや遊びでは、相手の声を聞き、ことばに反応し、順番を待つなど、前頭葉に適度の刺激が自然に生まれます。
つまり、スマホの操作が増えるほど前頭葉は過剰に興奮し止めにくくなり、人とのやりとりは前頭葉の働きを自然に整えてくれるのです。
だからこそ、スマホを完全に取り上げなくても大丈夫。
大切なのは「やめるか・やめないか」ではなく、どう関わるかです。
スマホをなくすのではなく、前頭葉を使う時間を取り戻す。
この視点で付き合い方を変えるだけで、スマホ依存から抜け出す“土台”は作れるのです。
スマホとの関わり方を見直していく取り組みは、一般的に「デジタルデトックス」と呼ばれることもあります。
私がASDの息子のスマホとの付き合い方を見直すことにしたキッカケ
の息子は、ASDの診断と知的障害グレーゾーンでADHD傾向があります。
スマホとの関わり方を見直す前は、息子には朝起きたら、「おはよう」の代わりに「ユーチューブ!」と言う時期がありました。
ちょうど、ことばの発達に伸び悩んでいた頃の話です。
「ユーチューブは言える…」と喜んでいいのか悪いのか、私自身よくわからない気持ちになったことを覚えています…。
朝起きたら、すぐにパパのスマホに飛び付き、かじり付いて見ていました。
動画を見ることがやめられないので、スマホを取り上げると激しく泣いて暴れる。
元々癇癪が酷くて、ことばの発達もゆっくりな息子。
ですが、肯定的な関わりを続けたことで癇癪が減ってきたし、ことばも増えたのです。
なのに、スマホのせいでまた元に戻ってしまう。
大事に育ててきた息子の脳が私の知らないところで、スマホによってすり減っていくように感じ、このままでいいのかと怖くなりました。
幸運にも、スマホとの付き合い方に頭を抱えていた時期に、「子どものデジタル脳完全回復プログラム」という本に出会えたのです。
しかし、本に書いてあった、「デジタル機器と完全に距離を取る」は難しく感じてしまいました。
なので、スマホとの付き合い方を見直すという形で、スマホとの関わり方を以下のように見直すことにしたのです。
・動画は1日1つまで
・見るなら一緒に見て「実況中継」
・スマホやパソコンの小さい画面では動画は見せない
などの取り組みを3か月継続しました。

「1つ見たら、お絵かきしよう」など動画を見たあとの約束をしてからテレビに動画を写して、
「今のおもしろいね!」
「びっくりした~」
と一緒に動画を見ながら実況中継。
すると、息子の朝の挨拶が「ユーチューブ!」から「おはよう^^」に戻すことができました!
また、スマホへの執着がぐっと減り、「おしまいだよ」と声をかけると、癇癪を起こさずに動画から離れられるようになったのです。
さらに、もともと大好きな工作やお絵描きをして遊ぶ姿もよく見られるようになりました。
そして何より、ことばが増えて、しりとりができるようになり、家族が笑顔で過ごす時間が増えたのです。
正直なところ、関わり方を変えていく最中は子どもだけでなく、大人もきつかった。
今までスマホに頼っていた時間が無くなるのでどう関わればいいのか分からず、何度も心が折れそうになったからです。
ただ、心から思っていることは、関わり方を見直して本当によかったということ。
見直し期間は辛い時間でしたが、ことばが苦手だった息子と会話が出来ていることを思うと感無量です。
そして、知識も余裕もない当時の私は、必死に目の前にいる息子にその時にできる対応をしていただけ。
振り返ると、当時の私は正しい知識もないままデジタル機器と向き合っていました。
もし関わり方を知っていたら、私も息子も、もう少し楽に過ごせる時間がもっと早く来ていたのかもしれないと感じています。
「このままでいいのかな?」と感じた今がスマホとの付き合い方を見直すタイミング!
スマホとの付き合い方に違和感を覚えたとき、まだ親の関わりで整えていける余地が残っています。
「おしまいだよ」の声かけがまだ届き、気持ちの切り替えに時間はかかっても親の関わり方で立て直すことができますよ。
ですが、時間が経つにつれて状況は少しずつ変わっていくのです。
癇癪やこだわりが増えるのは「親の関わりが足りないから」ではありません。
脳がスマホなどの強い刺激に慣れてしまい、程よい刺激(会話・遊び・やりとり)を受け取りにくくなっていくから起こることなのです。

だからこそ、 スマホとの付き合い方に違和感を覚えた今がチャンス。
小さな引っかかりに気づけた今だからこそ、「もっと楽になる未来」を選べます。
大切なのは、少しずつ環境を整えていくこと。
今からでも整えていけば、 わが子の脳にかかる負担を最小限にしながら、 ことばややりとりで脳が育つ環境を取り戻すことができます。
今日からできるスマホとの関わり方【2つのポイント】
ポイント①「ただ見せる」をやめて「一緒に見る」に変える
動画は「見せる」のではなく、「一緒に見る」が正解!
「車 走ってるね」
「面白いね」
「びっくりしたね」
と見ている時は、一緒に見ている大人が動画の「実況中継」をします。
動画を見るなら一緒に見て、「実況中継」をして、わが子のことばを伸ばすチャンスに変えちゃいましょう。
ただ見せるだけなんてもったいない!
ポイント② 1日中頑張らなくていい!「スマホがない時間」をつくる
1日ずっとがんばる必要はありません。
- 朝の10分
- お風呂前の5分
- 寝る前に絵本1冊

どこか1回だけ、スマホを使わない時間をつくる所から始めればOK。
うまく遊べなくてもOK。
間がもたなくてもOK。
「スマホがなくても過ごせた」という経験が、少しずつ関わり方を整える土台になっていきます。
「やめさせる」より「付き合い方を変える」だけで、親子の関係も、子どものことばの伸び方も、少しずつ変わっていきますよ。
まずは今日、動画を見る時間に一緒に関わるところから始めてみてください。
発達科学コミュニケーション
アンバサダー たなか ようこ






