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自閉症の子が返事しない・会話が続かない理由|ワーキングメモリとの関係
何度声をかけても返事がなくて、
「ちゃんと聞いてるのかな…分からないのかな…」と不安になること、ありませんか?
実はそのときの関わり方次第で、返事はさらに出にくくなることも、スムーズになることもあります。
自閉症のお子さんに
「返事しない…」
「返事が遅い…」
「こちらの質問にうまく応じられない…」
という様子が見られることは珍しくありません。
決して“聞こえていない”わけでも、“無視している”わけでもなく、脳のはたらきの特徴が関係していることがあります。
そのひとつが ワーキングメモリ です。
◾️ワーキングメモリとは?
ワーキングメモリには2種類あります。
✅言語性ワーキングメモリ:聞いた言葉を一時的に覚えておく力
✅視空間性ワーキングメモリ:見た情報を頭の中で保持する力
そして、この2つをまとめて動かす司令塔が「中央実行系」と呼ばれます。
最近の研究では、自閉症の子は言語性ワーキングメモリが負荷を受けやすいことがあると報告されています。
■ 自閉症の子の返事が遅くなる “脳の中”で何が起こっているの?
質問をされると、脳の中では以下の作業が同時に行われています。
・聞こえた言葉を保持する
・質問の意味を理解する
・適切な言葉を探す
・言葉を声に出す準備をする
言語性ワーキングメモリが負荷を受けやすいタイプのお子さんは、この一連の流れに時間がかかります。
そのため…
すぐに返事できない
会話が続かない
途中で黙ってしまう
といった状態が起こりやすくなるのです。
なので、 一度にたくさん質問されたり、急かされるように話しかけられたりすると余計にワーキングメモリがパンクして「返事できない状態」になりやすいのです。
だからこそ、特性に合わせて、 “負荷の少ない声かけ” がとても大切になります。

返事が遅かった自閉症の息子の返答スピードが上がった声かけ
私の息子も、返事にワンテンポ、ツーテンポ遅れがあるタイプでした。
質問してもすぐ反応がなくて、
「聞こえてる?」
「わかってる?」
と不安になったり、つい続けて声をかけてしまったり…。
ですがこれ、今思えば 私が息子のワーキングメモリの処理を邪魔していたんです。
けれども、このワーキングメモリのしくみを知らないと、待てずに次々と声をかけてしまいますよね。
そして…
「なんで会話が続かないの?」
「なんで返事が遅いの?」と“なぜ?なぜ?モード”に入り…
↓
イライラして子どもに当たってしまう
↓
もともと負荷がかかりやすい脳の部分に、さらにストレスがかかる
↓
そのエリアが育ちにくくなる
↓
悪循環に入ってしまう…
私自身も、まさにこの流れにハマっていました。
だからこそ、今では 「問いかけたら待つ」 を意識して声かけをしています。
・こちらが落ち着いて待つ
・子どもが言葉を探す“間”を奪わない
この2つを意識するようになってから、返事までの流れが少しずつスムーズになっていきました。
最近では、返事のスピードも以前より明らかに早くなってきています。

返事しない状態が続くとどうなる?今対応を変えるべき理由
返事がしにくい、会話が続かないという状態は、ワーキングメモリの負荷による“努力状態”
特性を知らずに声をかけ続けると「悪循環」に入りやすくなってしまうんです。
お子さんが返事できない
→ ママが不安で声を重ねてしまう
→ お子さんのワーキングメモリがさらに圧迫される
→ もっと返事できなくなる
こうした悪循環は、家庭では本当によく起こります。
だからこそ、早い段階で「負荷の少ない関わり方」を取り入れることが大事です。

今日からできる!返事を引き出す・会話が続くたった1つのポイント
返事しやすい環境と会話が続く関わり方のポイントは『間を奪わないこと』
問いかけたら、ゆっくり待つ。10秒くらい。
けっこう長いですがこの“余白”が返事を引き出してくれますよ。
返事がない、会話が続かないと感じると、つい「どうして?」と悩んでしまいますよね。
ですが、お子さんが悪いわけでも、気持ちがないわけでもありません。
脳の特性が理由で“返事しにくい状態”になっているだけ。
だからこそ、ママの声かけが変わると、返事のしやすさも大きく変わります。
お子さんのペースに合わせて、一歩ずつ積み重ねれば、返事もしやすくなり、会話のキャッチボールも少しずつ育っていきます。
今日できる小さな一歩から始めてみてくださいね。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 桜山尚









