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記憶がつながると広がるチャレンジの世界
「さっきまで遊んでたおもちゃ、どこ行ったの?」
そう聞いても、キョトンとする子。
泣いてパニックになってしまう子。
実はそれ、ワーキングメモリの特性かもしれません。
ワーキングメモリとは、「一時的に情報を覚えて、使う力」。
たとえば「コップを出して、お水を入れて、テーブルに持ってきてね」といった2〜3ステップの指示を理解し、実行するために必要な力です。
知的障害のある子どもたちはこの力が弱く、「覚えておく」「順番を考える」「思い出す」この3つが特に苦手なんです。
だからこそ、遊びながらこの力を育ててあげたい。
その第一歩が、身近な「宝探しゲーム」なんです。

知的障害キッズの記憶が伸びる就学前のチャンス期
ワーキングメモリの発達には、タイミングがあります。
実は、小学校入学前後の数年間が最も伸びやすいと言われているんです。
この時期に、「聞いたことを覚えて行動する」経験をたくさん積むことで、
・先生の話を覚える
・指示を最後まで聞いて動く
・会話の流れをつかむ
といった力がぐんぐん育っていきます。
療育や訓練だけじゃなく、日常の遊びの中でも伸ばせる。
だから今がチャンス。
しかも、それが「楽しい!」体験なら子どもも続けられます。

知的障害キッズの記憶が育った親子の宝探しチャレンジ
私には重度の知的障害のある息子がいます。
ある日、遊んでいたおもちゃが視界からなくなると彼は泣き出してしまいました。
目の前にあったはずの物が “消えた” 。
それが彼にとっては大きな混乱だったのです。
「どこにいったのか覚えていられないんだ」と気づき、ある日、目の前のおもちゃを布で隠してみました。
息子は最初は「なんで?」という表情で混乱していました。
それでも少しずつ少しずつ、見つけられるようになってきたんです。
布を二重にしたり、箱に入れたり、レベルアップしながら何度も遊びました。
するといつしか、
「おもちゃがそばにないときは、あそこにあるかも」
と ”記憶して探す力” がついてきたのです。
記憶が育つ!知的障害キッズの “楽しいトレーニング”
この宝探しゲーム、準備はとても簡単です。
Step 1:まずは目の前で隠す
お気に入りのおもちゃを、子どもの目の前で布で隠します。
→ 見つけられたら大成功!笑顔で「やったね!」と一緒に喜んであげて。

Step 2:ちょっとだけ難しくする
次は布を二重にしたり、箱に入れてみましょう。
見つけた時は大げさに喜ぶのがコツです。
Step 3:場所を変えて、本格的に「探す」
部屋の中のどこかに隠して、「探してごらん」。
指差しやヒントを出しながら進めてもOK。
見つからなくて泣いてしまったら?
→ お母さんの声かけがカギです。
「もうちょっとで見つかるよ」
「ヒント言おうか?」
優しくゆっくり、励ましながら一緒に探しましょう。
子どもは遊びの天才。
そして脳は、楽しいことをしている時に一番育ちます。
たとえうまくできなくても、責める必要はまったくありません。
「楽しかった」
「またやりたい!」
と思える体験の中で、少しずつ記憶力や集中力が育っていきます。
「今日はどこに隠そうかな」そんなワクワクが、子どもの未来につながっていきますよ。
遊びながら記憶を育てるって、難しそうで実はとてもシンプル。
今日からできる「宝探し」よかったらやってみてくださいね。
「できた!」の瞬間、きっとあなたの方がうれしくなるはずです。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 岩村 萌永(いわむら もな)






